学齢期吃音の指導・支援
ICFに基づいた評価プログラム
小林宏明著
B5判/3675円(税込)
ISBN:978-4-7614-0727-8
多様な問題を抱える吃音がある子どもたちに対して、評価と指導・支援計画立案を学校でできる画期的なプログラム!
●著者紹介(初版時)
著者紹介
小林 宏明(こばやし ひろあき)
1999年筑波大学大学院心身障害学研究科修了。博士(心身障害学)。1999年より筑波大学心身障害学系準研究員、2001年より同助手を経て、2002年より金沢大学教育学部助教授、現在に至る(組織再編などのため、現在の所属は、金沢大学人間社会研究域学校教育系准教授)。
専門分野は言語障害教育。主な研究テーマとして、吃音がある幼児から成人の指導・支援法開発に取り組んでいる。
幼少の頃から吃音があり、高校から大学院時代の前半にかけては、上手く発話ができないことに悩む時期を過ごすが、その後吃音は徐々に軽快化する。現在でも、吃音症状が見られたり話しにくい語に悩んだりはするものの、日常生活にはあまり支障がない状態となっている。
2000年から吃音者のセルフヘルプグループである茨城言友会に所属する。その後、金沢大学に赴任した2002年からは石川言友会に所属し、活動に参加している。
主な著書・訳書:『障害理解のための心理学』(長崎勤・前川久男編,明石書店,2008年,分担執筆)、『障害児保育』(佐藤泰正・塙和明編,学芸図書,2002年,分担執筆)、『吃音の基礎と臨床─統合的アプローチ』(バリー・ギター著,長澤泰子監訳,2007年,分担翻訳)ほか。
吃音ポータルサイト
http://www.kitsuon-portal.jp/
●目次
まえがき
この本の使い方
第1 章 吃音とは
第1節 氷山問題としての吃音
第2節 吃音氷山の概要
1 発話の問題(吃音の言語症状)
2 言語・認知・運動発達の問題
3 情緒・情動の問題
4 吃音への気づき・心理的問題
5 子どもを取り囲む環境の問題
第3節 学齢期の吃音がある子どもの特徴
1 生活全体の中での学校生活の占める割合が高くなる
2 発達・発育の途上にある
3 吃音の進展状況や抱える問題の内容や程度が多様である
第2 章 学齢期吃音のアセスメント
第1節 学齢期の吃音がある子どものアセスメントを行なう際に必要な視点
1 本人や保護者のニーズを的確に把握する
2 吃音氷山全体を把握する
3 指導・支援と結びつく実態把握や評価をする
第2節 学齢期吃音のICF に基づく包括的評価プログラム(評価プログラム)の提案
1 評価プログラム作成の経緯
2 評価プログラムの概要
第3 章 学齢期吃音のICF に基づく包括的アセスメントチェックシート
第4 章 学齢期吃音の指導・支援
第1節 学齢期の吃音がある子どもの指導・支援を行なう際に必要な視点
1 本人や保護者のニーズを尊重した指導・支援を行なう
2 吃音氷山全体の改善を意識する
3 情緒・情動の安定や自己肯定感の向上に配慮する
第2節 学齢期の吃音がある子どもの指導・支援における目的の設定を行なう際の観点
1 短期的な視点に立った目的
2 長期的な視点に立った目的
第3節 学齢期吃音の指導・支援方法の提案
1 保護者と学級担任に対するガイダンスや連絡・調整
2 情緒・情動の安定と問題の軽減を目指した指導・支援
3 吃音に関する情動・行動・認知への対処
4 スピーチセラピー
5 言語・認知・運動発達に対する指導
6 実際の生活における活動・参加を意識した発話・コミュニケーション指導
第4節 評価プログラムを用いた指導・支援の実施方法
1 指導・支援の流れ
2 指導・支援方針を検討する際の観点
3 指導・支援の終了を判断する際の観点
4 指導・支援の具体例(事例の紹介)
第5章 指導・支援の具体例
1─1 保護者に対するガイダンス
1─2 学級担任に対する情報提供
1─3 子どもや保護者と学級担任とのコーディネート
2─1 子どもとの自由遊びや共同活動を通したかかわり
2─2 ペントラム・セラピー
3─1 子どもと吃音についての話をする
3─2 書籍やビデオ教材などの活用
3─3 吃音クイズ
3─4 声を出して話している時の身体の仕組みを考える
3─5 いろいろな話し方クイズ
3─6 吃音のスピーチセラピーについてのレクチャー
3─7 吃音についての調べ学習
3─8 吃音が出ている時の身体と気持ちの状態をふりかえる
3─9 話している時の身体の緊張状態をモニターする
3─10 自身の声や話し方の特徴を知る
3─11 毎日の生活の中の苦手・得意な場面について話し合う
3─12 自身の吃音の困難や悩み、吃音に対する思いを話したり、その対応策を考えたりする
4─1 「ゆっくり」、「ゆったり」した発話環境の整備
4─2 「ゆっくり」話すゲーム
4─3 斉読読みと影踏み読み
4─4 「そっと、やわらかく」話す方法の練習
4─5 「はじめの音を繰り返したり伸ばしたりする」方法の練習
4─6 予期不安や発話時の緊張を軽減させながら発話する練習
5─1 保護者や学級担任に対するガイダンスや情報提供
5─2 吃音と構音障害の同時指導
5─3 吃音以外の言語・認知・運動発達の障害や遅れ、偏りからくる問題に対する指導
6─1a/6─1b 教科書や物語の音読練習
6─2a/6─2b さまざまな発話・コミュニケーション場面の体験
6─3a/6─3b 何でも発表・ビデオ番組作り
6─4a/6─4b 目上の人・あこがれの人へのインタビュー
6─5a/6─5b 先生のおつかいをしよう!
6─6a/6─6b 実際の生活場面における発話・コミュニケーション場面のシミュレーション練習
6─7a/6─7b 学外へのおでかけ
資 料 指導・支援の具体例で用いる教材
巻末資料1 吃音でなやんでいる皆さんへの7つのメッセージ
巻末資料2 吃音○×クイズ
巻末資料3 発声発語器官の模式図
巻末資料4 吃音のスピーチセラピーについてのレクチャーに用いるワークブック
巻末資料5 吃音が出ている時の身体と気持ちの状態をふりかえる活動のワークシート
巻末資料6 自身の声や話し方の特徴を知る活動のワークシート
巻末資料7 毎日の生活の中の得意・苦手な場面について話し合う活動のワークシート
巻末資料8 スピーチセラピーで用いる単語の例
巻末資料9 スピーチセラピーで用いる穴埋め文の例
巻末資料10 スピーチセラピーで用いる短文の例
巻末資料11 「予期不安や発話時の緊張を軽減させるアプローチ」のレクチャーに用いるワークブック
巻末資料12 発話・コミュニーション活動で用いるふりかえりシート
巻末資料13 自己紹介/他己紹介シート
あとがき
文 献
索 引
コラム一覧
コラム1 脆弱さとは
コラム2 吃音がある人の発声発語プロセスの追究
コラム3 「感受性が高くて繊細」、「情緒・情動の変動が激しい」状態とは?
コラム4 突然情緒・情動の脆弱さがなくなることがある?
コラム5 情緒・情動の脆弱さが吃音出現に与える影響
コラム6 情緒・情動の脆弱さをもつことはいけないこと?
コラム7 吃音の気づきと学習との関連
コラム8 パートタイムから始まる吃音への気づき
コラム9 バンライパーの吃音方程式
コラム10 予期不安は吃音の本質的問題?
コラム11 「小学校に入るまでに吃音を治したい」という保護者の真意を探る
コラム12 ジョンソンの立方体モデル
コラム13 吃音がある子どもの気持ちを疑似体験するエクササイズ
コラム14 吃音の原因論
コラム15 吃音の基本的情報
コラム16 ICF とは
コラム17 密接に関連している「活動」と「参加」
コラム18 私の考える理想的な吃音の予後
コラム19 ゆっくり、ゆったり、接することは吃音のある子どもとかかわる時の大原則
コラム20 「沈黙は金なり」
コラム21 臨床は、「ぞうきんがけ」のようなものである
コラム22 否定的な自己主張行動は、どこまで受け入れる?
コラム23 ペントラム・セラピーのその後
コラム24 小集団活動の優れた効能
コラム25 「普通の学校生活の中ではなかなか経験できないような活動や参加の場面を設定する」という発想
あとがき
文献
索引
●各章の特徴
第1章 吃音とは
学齢期の吃音の問題を、単なる「どもる」話し方の問題ととらえるのではなく、言語・認知・運動発達の問題や情緒・情動の問題、吃音への気づきや心理的問題、子どもを取り囲む環境の問題などの多様な問題の複合体としてとらえる「吃音氷山」モデルについて、解説しています。また、コラムでは、吃音がある人のさまざまな特徴、吃音の原因論、吃音についての基礎的情報などについて記載しています。吃音の問題には、どのようなものがあるのかについて理解を深めるとともに、子どもや保護者、学級担任の先生方などに対し吃音についての情報を提供する際の資料としても利用いただけます。
第2章 学齢期吃音のアセスメント
学齢期吃音のアセスメント方法として、筆者が作成した「学齢期吃音のICF に基づく包括的評価プログラム」(評価プログラム)について説明しています。これは、国際生活機能と障害、健康に関する分類(ICF)に基づき、吃音がある子どもやその保護者のニーズや実際の「活動・参加」における状態、第1章であげた吃音からくるさまざまな問題について包括的・総合的にアセスメントするものです。なお、ここには、第3章の学齢期吃音のICF に基づく包括的アセスメントチェックシート(チェックシート)の内容についての解説が記載されています。また、第2章では、本書の右肩部分にA─1〜D─5の各評価項目ごとにタブを設定しています。このタブは、第3章のチェックシート、第4章の指導・支援の観点と連動しており、タブを横になぞっていくと、評価プログラムの項目とそれに対応する指導・支援の観点がすぐに索引できます。
第3章 学齢期吃音のICF に基づく包括的アセスメントチェックシート
第2章で解説した評価プログラムを用いて実際にお子さんの実態把握や評価を行なう際に使用するチェックシートです。
第4章 学齢期吃音の指導・支援
第2章の評価プログラムに対応した6つの指導・支援の観点からなる指導・支援方法の提案がされています。それぞれの指導・支援の観点には、I 対応する評価プログラムの項目、II 導入の目安、III ねらい、IV 指導・支援の概略、V 評価の観点が記されています。なお、評価プログラムを用いた指導・支援の実施方法(指導・支援の流れ、指導・支援を検討する際の観点、指導・支援の終了を判断する際の観点、事例の紹介)も掲載しています。
第5章 指導・支援の具体例
第4章で説明した6つの指導・支援の観点のIV 指導・支援の概略で紹介されている1-1〜6-7a/6-7b からなる33の指導・支援方法の具体例の内容や実施方法の解説です。それぞれの具体例では、指導・支援の観点、導入の目安、ねらい、指導・支援の概略が記されています。また、第5章には、本書の右側に、1-1〜6-7a/6-7b の具体例ごとにタブを設定しています。
資料 指導・支援の具体例で用いる教材
第5章で紹介した指導・支援方法の具体例で用いる教材を掲載しています。
●帯より
評価と指導・支援計画立案を学校でできる画期的なプログラム!
吃音がある子どもは、単に「どもる」話し方の問題だけでなく、言語・認知・運動発達の問題や情緒・情動の問題、吃音への気づきや心理的問題、子どもを取り囲む環境の問題などの多様な問題を抱えています。本書は、これらの多様な問題を抱える吃音がある子どもたちに対する指導・支援方法として、筆者が作成した国際生活機能分類(ICF)に基づいた総合的アプローチについて、詳細で具体的かつ、わかりやすく解説しています。 |